三大ギタリスト

 私がギターキッドだった頃、三大ギタリストとされていたのは、ジェフ・ベック、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジだった。こういうリストアップはちょっとした時期の違いや好みの違いで変わるところもあるので、違う認識を持つ方もあるかもしれないが、1980年前後の洋楽ファン、ロックギターファンの間の認識として間違っていないと思う。ビートルズと同世代の、イギリス出身のギタリストたちだ。

 この中で、私の「推し」は、ジェフ・ベックだった。ルックスではジミー・ペイジが一番かっこいいと思ったし、何と言ってもツェッペリンだし、エリック・クラプトンは歌も歌って、『いとしのレイラ』というヒット曲があった。ジェフ・ベックはそういう意味では一般的には少し地味だったかもしれないが、ギター一筋という感じが「渋い」というか、歌がうまくない自分としては共感できたからなのか、とにかく一番好きで、Blow by Blowとか Wired といったアルバムをずいぶん聴いた。

 だが、なぜだか私のレコード棚にジェフ・ベックのLPはなく、クラプトンの『いとしのレイラ』は今でも持っている。ジェフ・ベックをよく聴いていたのは高校生の頃で、その後ジャズやクラシックに興味が移っていき、レコード棚にはアルゲリッチやポリーニのLPが並ぶようになった。当時は今のようにストリーミング配信なんてないわけで、LPは高校生の小遣いではそう何枚も買えるものではなく、たぶんジェフ・ベックはFM放送をエア・チェックしたカセットで聴いていたのだろう。エア・チェックという言葉もほとんど死語になってしまったが、貴重な情報源だった。

 その後、学生時代にはレンタル・レコード屋がずいぶんあって、そういう店にあるものも友達から貸りるものもクラシックはほとんどなかったし、ロックもずっと聴いてはいた。ロックにしてもクラシックにしても、音楽を生業にするなんて考えるような環境でもなかったが、音楽的には雑食というところか。学生時代にすでに2,000枚を超えるレコード・コレクションを持っている知り合いもいたが、私の懐具合ではとてもそんなに買い集めることはできず、それでも買ったLPの中に『いとしのレイラ』は入っていた。

 今でもLPプレーヤーは持っているが、どちらかというと新しもの好きな私がLPを聞くことは、ほとんどない。持っていたLPもだいぶ処分してしまったが、いくらか残してあるのは、やはり「思い出」のため。先週、YouTube投稿のためにクラプトンの『ティアーズ・イン・ヘヴン Tears In Heaven』のクラシック・ギター版(佐藤弘和編)を弾いて、「ああ、あれ、あったよね」と思い出し、引っ張り出してきたのが、写真のLP。でも、プレーヤーにかけるわけでもなく、ただ眺めただけで、音はストリーミングで聴いた。そして、久しぶりにジェフ・ベックも聴いた。いや、懐かしい。高校生の時には聴けなかったヤードバーズとかクリームとか、そんなバンドも今はストリーミングで簡単に聴けちゃって感激したり。懐かしいジャケットは、部屋に飾ってみるかなぁ。

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