まだまだ惑う弦選び

LaBella Elite 900-B

 年末年始、大掃除といった大がかりなことはあまりやらない方なのだけれど、楽器はいつもこの期間に特に念入りに手入れをする。フレットを磨いたり、指板をレモンオイルで磨いたり…なんてことをしたりする。楽器の表面をきれいに拭くくらいのことは、ふだんから気がついたときにやっているが、ここまでやるのは年に一度。そして、新しい弦を張る…というのが年末年始のひと仕事だ。実は、エレキまでは手が回っていないのだが…。

 本当は、ほかに書きたいことが、実はある。ジェフ・ベック。…が世を去った。前に「三大ギタリスト」という記事に書いたように、ギター・キッドだった10代の頃の私がいちばん惹かれていたロック・ギタリストは、ジェフ・ベックだった。そして、その後いろんな音楽を聴くようになって、ギターもいろんなタイプのギターを聴いてきたけれど、ジェフ・ベックはずっと私の中の「かっこいいギタリスト」ポジションに居続けた。すべてのアルバムを聴いた…というような熱心なファンではないけれど、なんというか「孤高のギタリスト」的なイメージに憧れを持ち続けてきたのだと思う。

 だから、その憧れの人の死は、やはり心に沁みた。でも、そのことについて今はこれ以上書ける気がしない。

 というわけで、話を戻して、弦の話。年末年始の手入れとは関係なく、メイン・ギターであるアントニオ・マリンの弦をどうするか。これをまだ決めきれずにいる。前回書いたように、サバレスのコラムからカンティーガ・プレミアム(どちらも赤)に戻し、久しぶりに弾いた時に感じた「暴れる」感じは収まったのだが、しかし…。

 なんかすっきり落ち着かない。コラムよりもパワフルできらびやかな華やかな感じがあって、暴れる感じもなくなったなら、何も不満はないのでは? 本当に、なぜこれでまだ不満なのだろう? 自分でも不思議だし、「不満」なわけではない。が、「満足」でもない。そんな感じなのだ。そもそも私はこういう時には「それはあなた、自分の力不足というものでしょう、精進なされよ」と思う方で、面倒な弦選びなどにハマるタイプではないと思っていた。なのに、どうしたことか、今回は「もっと合う弦があるような気がする」という気持ちからまだ逃れられない。

 困ったものだ。いい加減、落ち着きたいのが本音。というほど試したわけではないけれど、とにかく私は弦に凝るなんて面倒なことはしないタイプだったはずなのに…。でもまぁ、仕方ない。ということで、次に試しているのが、ラベラ。今まで一度も使ったことがないブランドだ。名前からイタリアの弦だとばかり思っていたが、アメリカの会社。イタリア系アメリカ人が作ったブランドだし、そもそもクレモナに弦を収めていたなんていう立派な歴史が書かれているから、イタリアには違いないのだが。

 GGショップのIさんに説明を聞いて選んだのは、写真に写っているエリートシリーズの900-Bというもの。写真をよく見るとわかってもらえるように、高音弦は黒い。低音弦は研磨されて、フィンガーノイズが出にくいようになっている。研磨弦は以前、エレガット用にダダリオのものを使っていたことがあって、ずいぶん高かったが、これは安い。知らないうちにずいぶん値上がりしていたダダリオより、だいぶ安い。ということで、試してみることに。

 そんなこんなで、メイン・ギターの今年の最初の弦は、低音がラベラの900-B、高音は今までと変わらず、3弦がサバレスのアリアンス、2弦が同じくサバレスのクリスタル、1弦はオーガスティンのインペリアル。こう書くと、ずいぶん弦に凝る人みたいだ…。うーん、そうなのかもしれない。実はいろんな弦がバラで買えるGGショップでもラベラはセット売りしかなく、黒い高音弦もセットで買ったのだけれど、高音まで慣れない弦で動画を撮るのが怖くて、そこは変えなかった。

 とりあえず弾いてみた感想としては、まず本当にフィンガーノイズが出ない。研磨弦では当たり前なのだけれど、久しぶりの感触にちょっと驚く。研磨弦の常として、その分華やかさは失われるが、楽器自体にパワーがあるので「鳴らない」苛立ちは感じていない。先に書いたように、以前研磨弦を使っていたのはエレガットだったので、そもそも楽器を鳴らす感覚は抑え気味がちょうどよく、今回の場合とはだいぶ条件が違うのだが、研磨弦は鳴りが悪い…という心配は今のところさほど気になっていない。むしろ、少し鼻にかかったような音色がなんとなくヨーロッパの香りがするというのか、まあ個性的。

 まだ弾いて一週間にもならないのでなんとも決めきれないが、しばらく使ってみようという気にはなっている。そんなわけで、ラベラを張って弾いた曲は、これ↓。次は黒い高音弦にチャレンジかなぁ。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次