AIはアメリア姫を知らない?

 今週のYouTubeはカタロニア民謡、『アメリアの遺言』。原題は “El Testament d’Amèlia” で、「遺言」でなく「誓い」と訳されていることもある。「遺言」とはものものしいし、どちらがいいか、そもそも事の由来をあらためて調べてみようと思い立って、話題のChatGPTに訊いてみた。

 英語で訊いた方が反応がいいというので、単刀直入に “What is the story of “EL TESTAMENT D’AMELIA”? と訊いてみたら返ってきた答えがこれ。

“El Testamento de Amelia” is a famous Spanish-language song that tells a story through its lyrics. The song is a popular piece of classical guitar music, and it was composed by Argentinian musician Augustín Barrios in the early 20th century.

The story of “El Testamento de Amelia” is about a man who is deeply in love with a woman named Amelia. However, Amelia dies suddenly, and the man is devastated. Before she died, Amelia wrote a letter to the man in which she expressed her love for him and asked him to promise to love her forever.

The man keeps the letter close to his heart and cherishes it as a testament to Amelia’s love. Even though she is gone, he continues to love and remember her, and he plays the guitar as a way to express his feelings of loss and longing.

The song is known for its beautiful melody and poignant lyrics, which evoke feelings of love, loss, and nostalgia. It has become a classic of the Latin American guitar repertoire and is often played at weddings and other special occasions.

さらにこれを翻訳してもらったのが、以下。

「El Testamento de Amelia」は、歌詞を通して物語を語る有名なスペイン語の曲です。この曲は、アルゼンチンの音楽家アウグスト・バリオスによって20世紀初頭に作曲された、古典ギター音楽の人気曲です。

「El Testamento de Amelia」の物語は、女性のアメリアに深く恋する男性の話です。しかし、アメリアが突然亡くなってしまい、男性は打ちのめされます。死ぬ前に、アメリアは男性に宛てた手紙を書き、自分の愛を伝え、彼が永遠に愛し続けることを約束するように頼みました。

男性はその手紙を胸にしまい、アメリアの愛の証として大切にしています。彼女がいなくなっても、男性は彼女を愛し、思い出し、ギターを演奏することで損失と懐かしさを表現しています。

この曲は美しいメロディと切ない歌詞で知られ、愛、喪失、懐かしさの感情を呼び起こします。これは、ラテンアメリカのギターレパートリーのクラシックとなり、結婚式やその他の特別な場面でよく演奏されます。

 以上がAIのお答え。
 うーん。どうなんだろう、なんだか私の知ってる話と違うぞ。そもそもこの曲はバリオスの作曲ではなく、ミゲル・リョベート編のカタロニア民謡。さらに、アメリアというのはカタロニアのお姫様だったはず。そこら辺についてはネットにいろいろ情報があって、夫と義母が不義密通の挙げ句に義母に毒殺される…というなんとも可哀想な話だった。そのいまわの際を歌った歌、ということらしい。昔どこかで読んだ記憶は、これ。

 いずれにせよ、”EL Testament” はやはり「遺言」と訳すのがいいのかな、というところは納得したけれど、全体としてはなんだか釈然としない。なんと言っても、AIの答えの妙な「もっともらしさ」がどうも気に入らない。リョベート編のカタロニア民謡をバリオス作曲のラテンアメリカの人気曲みたいに説明しているのは明らかにおかしいし、バリオスはアルゼンチンの作曲家ではない。この程度、ネットで調べれば簡単にわかることなのに間違えていて、けれど全体としては「もっともらしい」体裁にまとめてくる。まさに、フェイクニュースみたいだな…といったところか。

 面倒なのでこれ以上深入りするのは避けたけれど、ChatGPTはまだこれから成長するらしいので、今後に期待…かな?

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